迷わず行こうよ、行けばわかるさ

何でも経験してみなけりゃわからない。やってみると先がみえるよね。

「孤高の人」2回目。

孤高の人」2回目読了。初めて読んだ時とかなり違う印象、感想を持ちました。最初に読んだタイミングは、山に行き初めて登山が楽しくて仕方ない頃で、当時は主人公の加藤さん(実在の人物)の健脚さと勢いの凄さ(朝、須磨を出発し六甲山を縦走して宝塚まで行き、そのまま歩いて夜、神戸に戻る等)に驚いて、なんてすごい人かということだけが印象に残ってました。登山の方法やコース、トレーニング方法なんかを中心に読んだんですね。

2回目は、より加藤さんの人物像、考えていた人生の方向性、生い立ちや社会への適合、といった内面が興味深く、また物語の細部(生家の浜坂や住んでる住居の様子など)を地図で見て頭の中で想像してビジュアル化するのが楽しい作業でした。

そして、なぜ今2回目を読んだのか、自分の中での山の楽しみ方が変化してきてて、山に行くことの意義とか方法を再考してたところだったからだろうと思います。以前はサラリーマンだったので、時間が限られていたため、とにかく行動する範囲を拡げようと歩く能力を上げるためトレーニングに行くといった感じでした。(レベルは違えど加藤さんのように。富士山を5週連続で登るなど)

とにかく「行ってない山に登る、新しい景色を観たい」だったんですが、つい最近になってから「ゆっくり長く自然の中に居たい」に変化してきています。あちこち動き回らずとも好い場所での定点滞在も良いのではないか?と思いはじめました。初めて山に別荘を持とうとする人の気持ちがわかりました。(前は定点に住むなんて意味がわからない、移動しなきゃいろんな山を楽しめないじゃん、バックパックで山旅でしょって)

この変化の感じがどういうことなのか?あれだけ熱狂してた山の活動がなんだか急に変化したのはなんでだろう?と思って、当時凄いと思ったこの本を今どう感じるか、気になったんだと思います。

読んでよかったです。今後の登山のみならず方針の新しい感触を得ました。信じられないかもしれませんが、登山や波乗りは直接人生に関わってまして、ほぼメインテーマなんです。家庭を持ちたいとかの一般的・社会的な発想がかなり希薄(いや欠如)なんですね。ここらは加藤さんや副主人公の宮本さんと似ています。

 

孤高の人(上下)合本版(新潮文庫)

(断酒10日目)